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神聖かまってちゃん聴いてボロボロ泣いてたし全部嫌いだし全部大好きだし

音楽が好きなわけじゃない女食うために顔だけでやってるクソバンドが死ぬほど大嫌いな高校生が僕だった。音楽が好きなわけじゃない女食うために顔だけでやってるクソバンド嫌い選手権が開催されたらぶっちぎりで優勝してあまりに強すぎるために次年度から出場停止になるくらいには音楽が好きなわけじゃない女食うために顔だけでやってるクソバンドが嫌いだった。
今はわりと穏健派になってきて、まあまあええやないの、まあまあそんなかっかしないで、とTLに流れてくる怒りや憎しみに満ちたツイートを見るたびに思っている。でも僕だって当時は相当で、あらゆるものに怒ってあらゆるものに憎しみを抱いた。
僕が怒りを抱いたバンドに、神聖かまってちゃんというバンドがいた。
まず最初にバンド名でマイナスだった。なんだそれ、あーあどうせ、そういうもんなんだろ、名前と同じで音楽もちょっと勘違いしちゃった拗らせ野郎がギャーギャー騒いで音楽みたいななにかを鳴らしてるだけなんだろ。分かってるんだよそんなの、もう全部分かってる。そう思った。
次に、キャスをやっているという情報でマイナスがついた。やっぱりそうだ、聴くに値しないクソバンドなんだな。僕はこういうのが一番嫌いなんだ。こういうのをやられるくらいなら、無味無臭な大衆音楽をでっかい顔してやってる方がよかった。こっちに近づかないでくれよ。こっちの世界に近づいて「俺たちはお前らの仲間だ、理解者だ」なんてほざくんだよ。そういうのホントにうざったらしくて迷惑なんだ。お願いだから、関わらないでくれ。
批判してやろうと思った。ボロクソにこき下ろしてやろうと思った。神聖かまってちゃんという文字列を視認するたびに僕はイライラしていた。
ロックンロールは鳴り止まないという曲を聴いた。そのとき、僕の怒りはなぜか収まっていた。なんの感情も抱かずに曲を聴き続けた。頭の中ではピアノの旋律が響き続けていた。

「お前らの中に、ミュージシャン目指してるやついるだろ。ここに来いよ!!!」

の子がそう叫んだ。観客の中にの子に近付こうと手を伸ばして叫んでいる男がいた。みんな目がギラギラしてた。なんか全部ぶっ壊れてぶっ飛んでめちゃくちゃになっていい加減になって死んじまえと思った。でも死んでほしくなかった。死ぬ気で生きたかった。バカ生きたかったしバカ死にたくなかった。ふざけてた。なんか全部ふざけていた。

僕は泣いていた。別にミュージシャンなんて目指してねえし、だっせえし、なに叫んでんだよ、なに気取ってんだよ、だれもお前なんか目指さねえよ。
でも泣いてた。ボロボロ泣いてた。鼻水でぐずぐずだった。

「なんでここ立ってるのかわかんねえよ。だって普段ニートみたいな生活してんだよ、なあ!」

そう言って笑った。最高の笑顔だった。コピーして街中に貼り付けて回りたいくらいの最強の笑顔だった。おいお前ら、お前ら全員薄ら寒いよ。みろよこれ、クソみたいな笑顔だろ? うんそうなんだよ、クソみたいな笑顔なんだよ。このクソみたいな笑顔のせいで僕はもうどうしようもなくなってるんだよ。もうどうにかなっちまってんだよ。

なんだこれ、なんだこれ、どうなってんのか分からない、涙が止まらない、鼻水が止まらない、もうダメだ、最高なんだ。

演奏が終わった。の子は最後、「こういうときだけ、人間っていいなと思う」と言った。僕だってそうだった。全部クソでぶっ殺したい人間だけがどんどん増えて、でもぶっ殺せねえから音楽を聴いて、叫んで、どうにもならなくなって、でもやっぱり最高で、人間好きなのはやめられなくて、ぶっ殺したい人間ばかりで世界なんて滅んじまえって何百回と祈って、でも人間大好きで世界なんて滅んでほしくなくて、音楽聴いて音楽聴いて音楽聴いて音楽聴いて、それでずっとずっとずっとずっと音楽聴いて音楽聴いて音楽聴いて音楽聴いて音楽聴いて音楽聴いて。
僕はそんなんだった。

なんだこれって思った。ああそういや、神聖かまってちゃん聴いてたんだった。

その後、の子が警察署の目の前でラジカセ担いでライブやるキャスを見た。支離滅裂で全然なにいってるのか分かんなくて、もう社会不適合者の人間のゴミがそこには写っていて、あれにはなりたくねえななんて思ってみたりして。
で、結局警察に止められてやんの。ロックンロールは鳴り止んでやんの。なにやってんだこいつ、ホントにただのバカで社会不適合者じゃん。
でもクソ最高だった。まともなやつはの子一人だけだった。画面に写ってる人間でまともなのはの子一人だけだった。他は全員偽物で、の子に歌うのを止めるよう言った警官に、笑ってる女性に、ヤバイものを見るような目のサラリーマンに、全てに腹が立った。お前ら、そうやってヘラヘラして、なんだよ。お前ら全員偽物だよ。本物はの子だけだよ。

ロックンロールは鳴り止んでなんかいねえよ。ずっとずっと鳴ってんだよ。なあ、この文書いてるだけで目頭熱くなってるんだよ、僕。もうダメなんだ、クソ最高なんだよ。音楽ってクソ最高だし、顔だけバンドぶっ殺したいけど人間好きだし、女食いバンドぶっ殺したいけど世界好きなんだよ。全部全部大好きなんだ。ロックンロールに対して斜に構えてるやつ全員ぶっ殺してえよ、評論家気取りも全員ぶっ殺してえよ、あのバンドは終わったとか言ってるやつぶっ殺してえ、全部ぶっ殺してえ、でも全部大好きなんだ。

そんなもんなんだ、僕にとっての音楽って。そんな感情が、神聖かまってちゃん聴いてたら出てきた。最高だよ、本当に。